【2019 F1】第1戦オーストラリアGP ~やるじゃないかホンダ!~

2019年3月18日

 3月15日~17日、オーストラリアのメルボルン、アルバートパークサーキットにおいて2019年シーズンF1の初戦、オーストラリアGPが開かれました。我らがレッドブル・ホンダはマックス・フェルスタッペン選手が見事3位表彰台を獲得、僚友ピエール・ガスリー選手も11位に入りました。また姉妹チームのトロロッソ・ホンダはダニル・クビアト選手が10位入賞!新人アレクサンダー・アルボン選手も14位に入り、4台とも無事完走を果たしました。

フリー走行1回目

 金曜日のフリー走行1回目、ここからホンダはいきなり速さを見せます。フェルスタッペン選手が4位のタイムを記録してメルセデス・フェラーリの二強4台の牙城を崩して見せれば、クビアト選手は三強チーム以外ではアルファロメオのキミ・ライコネン選手に続く7位のタイム。続いて8位にはガスリー選手、アルボン選手も13位となりました。

フリー走行2回目

 午後の2回目、さらにレッドブルの本気に拍車がかかります。フェルスタッペン選手が3位、ガスリー選手が4位のタイムを記録し、メルセデス勢2人の直後に迫ります。トロロッソはクビアト選手が11位、アルボン選手は17位タイム。アルボン選手、公道コースにやや苦戦か。

フリー走行3回目

 金曜日の夜、ちょっと波乱が…。フェルスタッペン選手がモノコックをまるごと交換。燃料漏れが疑われたけれど燃料タンク交換にはめっちゃ手間がかかる→モノコックまるごと交換しちゃえ!という流れのようです。そして迎えた土曜日、ガスリー選手は6位、フェルスタッペン選手が9位。クビアト選手は8位に食い込み、アルボン選手は15位のタイムでした。クビアト選手、なかなかやってくれそうです。

予選

Q1:タイム更新祭りの中、レッドブルにまさかの計算違い。

 そして迎えた予選。ここでレッドブルが痛恨の戦略ミス。。。1セットのタイヤでQ1通過できると高をくくっていたら、2回目のアタックでタイヤを履き替えた他のマシンが圧倒的タイム更新の嵐。フェルスタッペン選手こそQ2進出を果たしましたが、ガスリー選手は17位に沈み、何とQ1敗退となってしまいました。ちなみにQ1の結果はクビアト選手6位、アルボン選手9位、フェルスタッペン選手10位。地道に走ったトロロッソが2台ともトップ10に入ってみせました。ちなみにベッテル選手は11位。こちらも危なかった。(^_^;;

Q2:トロロッソ惜しくも敗退。フェルスタッペン選手は失地回復。

 ここでハース・フェラーリが躍進。ロマン・グロージャン選手が5位、ケビン・マグヌッセン選手が7位に入って見せます。フェルスタッペン選手はメルセデスの2台に続く3位。その一方トロロッソは、アルボン選手13位、クビアト選手15位で残念ながらQ2敗退となりました。ルノーも同じくQ2で2台ともノックアウト。今回がご当地GPとなるダニエル・リカルド選手は12位から前を追います。

Q3:さすがの二強。くらいつけレッドブル!

 いや、メルセデスはやっぱり速かった!ルイス・ハミルトン選手とバルテリ・ボッタス選手が1分20秒台の驚速タイムでフロントローを分け合います。そしてフェルスタッペン選手はフェラーリのセバスチャン・ベッテル選手とシャルル・ルクレール選手の間に見事割って入り4位。2列目の位置を確保することができました。そして見事なのはマクラーレン・ルノーの新人ランド・ノリス選手。僚友カルロス・サインツJr.選手がQ1落ちに沈む中、Q3に進出して8番手のタイムを記録。今年のルーキーの中でベストグリッドを獲得しました。そしてハース・フェラーリも好調。2台がQ3に駒を進め、Best of the Restの6、7番グリッドを確保。トップ10の内訳はメルセデス、フェラーリ、ハースが2台、レッドブル、マクラーレン、アルファロメオ、レーシングポイントがそれぞれ1台ずつとなりました。

決勝

前半:スタート直後まさかのアクシデント。そしてボッタス選手が主導権掌握。

 そして迎えた決勝レースは、地元ファンならずとも衝撃的な立ち上がりとなりました。スタート直後、12番グリッドからロケットスタートを決めたリカルド選手が路肩にはみ出した刹那、思いのほか深かった段差にフロントウイングを引っかけて破損してしまいます。前年まで所属していたレッドブルのキャッチコピーをもじって「もうダニエルには翼はいらない」なんて熱烈応援な横断幕も見られた中、まさにあっという間に翼をもがれてしまう結果となり無念のピットイン。ハードタイヤを履いて最後尾からの追い上げを余儀なくされます。そして混乱を避けたガスリー選手に接触してしまったウイリアムズ・メルセデスのロバート・クビサ選手もフロントウイングを飛ばしてピットイン。何とも波乱含みのスタートです。

 そして先頭集団でも異変が。2番グリッドのボッタス選手が好スタートを決め、ポールポジションのハミルトン選手の機先を制することに成功。戦況が落ち着いてみると、トップ5はボッタス選手、ハミルトン選手、ベッテル選手、フェルスタッペン選手、ルクレール選手の順。残るホンダ勢はアルボン選手が11位、クビアト選手15位、ガスリー選手16位となって前半戦を戦います。

 11周目、マクラーレンのサインツ選手のマシンが突然煙を吐き、ピットに戻ろうとするもピットロード脇にマシンを止めてリタイア。2019シーズンのリタイア第1号となってしまいました。

 13周目にアルファロメオのライコネン選手が先頭を切ってタイヤ交換のためピットイン。ここから各チームのタイヤ交換祭りが始まります。トップ集団では15周目にベッテル選手がピットイン、それを見て16周目にハミルトン選手がピットイン。ボッタス選手はやや遅れて23周目、フェルスタッペン選手は25周目にピットに入ります。ここまでの選手たちはいずれもミディアムタイヤを履いてピットを後にしましたが、28周目にピットインしたルクレール選手はハードタイヤを履いてコースに復帰しました。トロロッソ勢はアルボン選手が15周目、クビアト選手が27周目にタイヤ交換を行いました。

後半:ホンダがフェラーリをぶち抜く!メルセデスに肉薄する!

 後半の白眉はもちろん、ベッテル選手とフェルスタッペン選手の手に汗握る攻防でしょう。ベッテル選手より10周遅くタイヤ交換を行ったフェルスタッペン選手は激しくベッテル選手を追い立てます。フェラーリに真っ向勝負を挑むホンダ!もう忘れかけていたシーンがまさに眼前に展開しています。そして31周目、見事にフェルスタッペン選手がベッテル選手をパス。この瞬間、思わずテレビの前で快哉を叫んでしまったのは言うまでもありません。

 その一方で、リカルド選手は31周目にマシンをピットに入れてリタイア。悔しい地元でのレースとなりました。そしてハースのグロージャン選手。タイヤ交換の際に左フロントタイヤの装着に手間取ってタイムロスを喫していましたが、まさにその左フロントタイヤがぐらついて32周目にリタイア。昨シーズンの悪夢を思い出させる結果となってしまいました。結果的に今回のリタイアは、序盤のサインツ選手と併せて3人となりました。

 このサーキットはなかなか追い抜きが難しいといわれます。それを身をもって感じていたのがガスリー選手。前半はずっとクビアト選手の後ろを走り続け、彼がピットインした後ようやく手にした自由は、ガスリー選手がタイヤ交換に入った38周目以降、再び奪われてしまうことになります。ピットアウト直後こそ何とかクビアト選手の前に入ったガスリー選手でしたが、暖まっていないタイヤの辛さ、クビアト選手にかわされてしまいます。結局ガスリー選手はこのレース、自分が前年まで所属していたチームのマシンの後ろ姿をずっと見続けることとなりました。

 一方ボッタス選手はまったくの横綱相撲、一人旅。ハミルトン選手に20秒以上の差をつけてゆうゆうと先頭を走ります。これまでならボッタス選手はもうクルージングに入ってもいい塩梅ですが、今シーズン新しく加えられた、10位以内でフィニッシュした選手がファステストラップを記録した場合は1ポイント付与されるというルールがちょっと違った展開を生みました。ボッタス選手は貪欲にファステストラップを記録していきます。しかしそれに待ったをかけたのはやっぱりフェルスタッペン選手!ファステストラップを更新してハミルトン選手を猛追します。でも勢いあまってコースアウトを喫したりしてそれは不発。今後の楽しみにとっておきましょうか。そして最終盤にはボッタス選手がファステストラップを奪い返して見事なトップチェッカー!昨シーズン未勝利とはとても思えない力強さを見せたレースとなりました。

 2位にはハミルトン選手、3位にはフェルスタッペン選手が入りました。何となんと、ホンダ開幕戦から表彰台ゲットです!もう、テレビの前でガッツポーズしまくりでした。そして4位はベッテル選手、5位にはルクレール選手が入りました。

 6位以降は、今シーズンの勢力均衡加減をまざまざと示すものでした。6位はハースのマグヌッセン選手、7位ルノーのニコ・ヒュルケンベルグ選手、8位アルファロメオのライコネン選手、9位レーシングポイント・メルセデスのランス・ストロール選手、そして10位にはトロロッソのクビアト選手!復帰戦で見事入賞を果たしました。

 今シーズンデビューのルーキー対決を見てみると、12位にマクラーレンのノリス選手が入ったのが最高。14位でトロロッソのアルボン選手、16位にウイリアムズ・メルセデスのジョージ・ラッセル選手が続きました。アルボン選手は決勝レースでは目立つ結果を残せませんでしたが、それでもちゃんと完走。これからの戦いに、大いに希望が持てそうです。そしてノリス選手は要注意、侮れないですね。ラッセル選手はどうしてもマシンの力に差があるのが不利かな…。でも、きっちり完走してみせたのは見事です。

まとめ

 というわけで、今回のグランプリはホンダびいきなぼくにとって、まずは大いに留飲を下げるレースとなりました。何と言ってもレッドブルが昨シーズン並みかそれ以上の戦闘力を発揮してくれたのが嬉しい!条件次第でフェラーリやメルセデスにガチで挑めるというのは素晴らしい。もちろんこれからシーズンを過ごしていく中で、耐久性をはじめとして様々な関門が待ち構えていることでしょう。でも今シーズンのレッドブル、トロロッソ、そしてホンダは、そんな関門の一つ一つを着実に乗り越えてくれるに違いない、そんな風に思えた今回のオーストラリアGPでした。がんばれレッドブル・ホンダ、そしてトロロッソ・ホンダ!

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