7月30日(日)、2017年F1第11戦ハンガリーGPの決勝レースが行われました。マクラーレン・ホンダはフェルナンド・アロンソ選手が6位、ストフェル・バンドーン選手が10位でともに完走を果たし、今シーズン初のダブル入賞を飾りました。
ハンガリーGPの開催されるハンガロリンクサーキットはGPカレンダー屈指の低速テクニカルサーキット。相当のスピード差があっても追い抜くのは困難を極めます。今シーズンなかなか調子の出ないマクラーレン・ホンダにとっては頭角を顕すチャンス。一旦は2018シーズンにホンダエンジンを積むことを表明していたザウバーが一転してフェラーリエンジンを搭載することが明らかになった直後でもあり、せめてザウバーにだけは一泡ふかせておきたいところです。(^_^;;
ところが土曜日の予選では、「ザウバーに一泡」どころではない活躍をマクラーレン戦士の二人が見せてくれました!Q1ではフェルナンド・アロンソ選手が8番手、ストフェル・バンドーン選手が9番手のタイムを記録して余裕のQ1突破。Q2でもアロンソ選手8番手、バンドーン選手9番手で二人そろってQ3進出を果たします。そしてQ3でもまたまたアロンソ選手8番手、バンドーン選手は9番手。メルセデス、フェラーリ、レッドブル・タグホイヤーの3強6人を除いて終始マクラーレンの上を行ったのはルノーのニコ・ヒュルケンベルグ選手でしたが、ギアボックス交換により5グリッド降格のペナルティ。決勝レースではマクラーレンが、「中堅以下チームのポールポジション」、4列目からスタートすることとなりました。
一方、ウイリアムズ・メルセデスにはアクシデントが。フェリペ・マッサ選手が体調不良のため土曜日のフリー走行3回目まで走ったところで欠場を決断。代わってリザーブドライバーのポール・ディ・レスタ選手が出走することとなり、いきなりの予選セッションで19番手タイムをマークしました。以前フォース・インディアで確実な走りを見せていたディ・レスタ選手、決勝での走りに注目です。
スタート直後のアクシデント、リカルド選手早々のリタイア。
さて、改めてスターティンググリッドを見てみましょう。ポールポジションはフェラーリのセバスチャン・ベッテル選手が獲得。さらに2番手は僚友キミ・ライコネン選手で、フェラーリがフロントローを独占することとなりました。メルセデスはバルテリ・ボッタス選手が3番手、そして予選中終始タイヤのミスマッチを訴えていたルイス・ハミルトン選手が4番手。続いてはレッドブルのマックス・フェルスタッペン選手が5番手、ダニエル・リカルド選手が6番手に陣取ります。そしてその後方にはマクラーレンの2台が並ぶ…胸熱な構図です。このシーンを待っていた!
しかしスタート直後に波乱が起こります。スタートダッシュをうまく決めてハミルトン選手の前に出たレッドブルのフェルスタッペン選手とリカルド選手が接触!リカルド選手はラジエーターを壊してしまい、いきなりのリタイアを余儀なくされてしまいます。このアクシデントを受けてセーフティカーが導入。そしてフェルスタッペン選手はこの接触の責任を問われ、10秒ピットストップの咎を受けることとなります。マクラーレンの二人はこのアクシデントをうまく避けることに成功しましたが、トロロッソ・ルノーのカルロス・サインツJr.選手の先行を許す形となってアロンソ選手は7番手、間にジャンプアップしたフォースインディア・メルセデスのセルジオ・ペレス選手をはさんでバンドーン選手は9番手となりました。
失意のリカルド選手、そのマシンが撤去されたあとの5週目にセーフティカーが退出、レース再開となります。この時点での隊列はベッテル選手、ライコネン選手、ボッタス選手、フェルスタッペン選手、ハミルトン選手、サインツJr.選手、アロンソ選手、ペレス選手、バンドーン選手、フォースインディアのエステバン・オコン選手というトップ10です。
アロンソ選手渾身のオーバーテイク、そしてバンドーン選手の若さ。
今季のピレリタイヤは昨年より耐久性が高くなっています。大方のマシンは1回交換作戦。30周あたりから各マシンが次々にタイヤ交換にピットインして行きます。上位陣はまずメルセデス勢がボッタス選手、ハミルトン選手の順でタイヤ交換。それに呼応する形でフェラーリ勢がベッテル選手、ライコネン選手の順にタイヤ交換を行いました。また、6番手を争うサインツJr.選手とアロンソ選手でしたが、なんと36周目で同時にピットイン。これでは抜けません。。。コース上ではさすがにトロロッソは抜けないよなぁ…。
しかし!不可能を可能にするのがアロンソ選手。38周目、アロンソ選手がツイスティなコースを余すところなく利用した豪快かつ技ありのオーバーテイク!サインツJr.選手の前に出ることに成功します。やったぁ!
その一方、バンドーン選手には不運が。。。フォースインディア勢とのタイム差を勘案して走り続けていたバンドーン選手は43周目にピットイン。しかし滑りやすいピットレーンの路面に足もとをすくわれてオーバーランを喫していまい、タイヤ交換に予想以上の時間を要します。そしてようやくピットアウトを果たしたとき、それまで後ろを走っていたオコン選手は既に視界から消えていました。。。ここ一番でバンドーン選手の若さが出てしまったかな、という感じです。(>_<)
ハミルトン選手鬼神の追い上げも実らずフェラーリ歓喜の1-2!
今回のレースを終始リードしていたフェラーリ勢ですが、トップを走るベッテル選手にはステアリングのトラブルが発生していました。ペースも後ろを守るライコネン選手に及ばないペース。一方、メルセデスはペースの上がらないボッタス選手を敢えて後ろに下げ、ハミルトン選手にフェラーリ勢攻略の命運を託すことになります。
ここで光ったのがライコネン選手の走り。明らかにペースの上がらないベッテル選手を前においたまま、ハミルトン選手の追い上げを巧みにかわして行きます。何とも厳しい走りを強いられたライコネン選手ですが、ベッテル選手がペースを取り戻すまで、万全のブロックを見せました。また、ライコネン選手の攻略ならなかったハミルトン選手は最終ラップにペースダウン。先ほど道を譲ってくれたボッタス選手に3位のポジションを明け渡して猛追してきたフェルスタッペン選手を抑えながら4位でのチェッカー。
一方、オコン選手の後方に陣取ったバンドーン選手ですが、終盤徐々にオコン選手に近寄って行きます。しかしさすがにハンガロリンクサーキットは抜きにくい。DRS圏内に入りながら我慢の走りが続きます。そして最終盤にひときわ輝いたのがアロンソ選手。69周目にファステストラップを記録してみせました。アロンソ選手は昨年のイタリアGPでもファステストラップを記録していますが、そのときは終盤に入賞するチャンスも絶たれ、余っていたタイヤに履き代えて半ば憂さ晴らし(?)で記録したもの。今回は上位陣と互角の戦いを繰り広げながらのファステストラップですから、よりアロンソ選手の気合の入りようも窺えようというものです。
ともあれ、レースはベッテル選手が優勝、そしてライコネン選手がその後をしっかり守り、フェラーリが1-2フィニッシュを達成しました。そしてメルセデス勢はボッタス選手が3位、ハミルトン選手が4位。我れらがマクラーレン・ホンダは、アロンソ選手が6位、バンドーン選手が10位に滑り込んでダブル入賞を達成。ホンダエンジンを袖にしたザウバーチームの鼻をあかしました。(^_^;;;
かくして、F1サーカスはしばしの夏休みに入ります。次戦はベルギーGP、そしてその次はイタリアGP。ハンガリーGPとは真逆な高速コースが続きます。今回コース特性も利したのか、好成績を収めたマクラーレンですが、その真価は夏休み明けに改めて試されることになるのでしょう。これからも厳しい戦いが続くことと思いますが、がんばれマクラーレン・ホンダ!
決勝レース結果
?順位 | ?No. | ?ドライバー | ?チーム |
1 | 5 | S.ベッテル | フェラーリ |
2 | 7 | K.ライコネン | フェラーリ |
3 | 77 | V.ボッタス | メルセデス |
4 | 44 | L.ハミルトン | メルセデス |
5 | 33 | M.フェルスタッペン | レッドブル |
6 | 14 | F.アロンソ | マクラーレン |
7 | 55 | C.サインツJr. | トロロッソ |
8 | 11 | S.ペレス | フォースインディア |
9 | 31 | E.オコン | フォースインディア |
10 | 2 | S.バンドーン | マクラーレン |
11 | 20 | K.マグヌッセン | ハース |
12 | 26 | D.クビアト | トロロッソ |
13 | 30 | J.パーマー | ルノー |
14 | 18 | L.ストロール | ウイリアムズ |
15 | 94 | P.ウェーレイン | ザウバー |
16 | 9 | M.エリクソン | ザウバー |
17 | 27 | N.ヒュルケンベルグ | ルノー |
DNF | 40 | P.ディ・レスタ | ウイリアムズ |
DNF | 8 | R.グロージャン | ハース |
DNF | 3 | D.リカルド | レッドブル |