4月16日(日)、2017年F1第3戦バーレーンGPの決勝レースが行われました。マクラーレン・ホンダはフェルナンド・アロンソ選手、ストフェル・バンドーン選手とも悔しいリタイアに終わりました。
バーレーンGPは今シーズン初めてのナイトレース。テレビ中継で触れられていましたが、このバーレーンGPを制したドライバーの75%、優勝チームの90%がその年のチャンピオンシップを制しているのだとか。今シーズンを占ううえでも見逃せないレースです。
#ぼくは精神がねぢけているので、残りの25%、10%を調べてしまいました…。2007年、2008年のフェリペ・マッサ選手(ただし所属チームのフェラーリはコンストラクターズ獲得)、2010年のフェルナンド・アロンソ選手(所属チームのフェラーリもこの年コンストラクターズ3位)でした。言うまでもなくお二方とも現役。がんばって!
銀色の壁に割って入るベッテル選手。
そしてセーフティカー導入の明暗。
ポールポジションはメルセデスのバルテリ・ボッタス選手が獲得。ボッタス選手81戦目にして初のポールポジションです。2番手にはルイス・ハミルトン選手が続き、フェラーリのセバスチャン・ベッテル選手は3番手から前をうかがいます。そして我らがマクラーレン・ホンダのストフェル・バンドーン選手がMGU-Hの冷却水の水圧が下がってしまいスターティンググリッドに着くことすら叶わずリタイア。今回のマクラーレン、パワーユニットのトラブルが相次いでいます。(>_<)
スタートはボッタス選手が先頭をキープ。しかし2番手には、絶妙のスタートを決めたベッテル選手がハミルトン選手を制して滑り込みます。ボッタス選手がグリッド上で発電機を使えず→タイヤウォーマーが機能しない→タイヤが冷たいまま規定の圧まで空気充填→走り出したら熱で内圧急上昇、というトラブルを抱えてペースの上がらない中、序盤戦はトップ集団がダンゴ状態に。近年あまり見なかった展開です。アロンソ選手は珍しくスタートで順位を上げることができず、15番手でレースを進めています。
11周目、フェラーリが動きます。ベッテル選手がピットインし、虎の子の未使用スーパーソフトタイヤに交換。ボッタス選手をアンダーカットしてやろうという作戦です。また、レッドブル・タグホイヤーのマックス・フェルスタッペン選手も次の周にタイヤ交換を敢行しますが、なんとピットアウト直後にブレーキトラブルでリタイア。不運な週末になってしまいました。
そして13周目、アクシデントが発生します。ウイリアムズ・メルセデスのランス・ストロール選手がピットアウトしたトロロッソ・ルノーのカルロス・サインツJr.選手と交錯してクラッシュ。コース上に止まってしまったため、セーフティカーが導入されました。もちろんこれをメルセデス勢が見逃すはずもなく、ボッタス選手、ハミルトン選手が相次いでピットに飛び込んで行きました。ベッテル選手危うし!
しかしここでトラブルが降りかかったのがメルセデスです。タイヤ交換に使用するエア工具がうまく機能せず作業に時間がかかってしまいました。そのためボッタス選手がピットアウトした時には、すでにベッテル選手は前を走っていました。さらに後から入ったハミルトン選手は、必要以上に減速して後続のレッドブル、ダニエル・リカルド選手を妨害したとして5秒加算のペナルティを科されてしまいます。近年のメルセデスにはあまり見たことのないドタバタです。
そしてセーフティカーがコース外に去ると、先頭にはまんまとベッテル選手。ボッタス選手も追いすがりますが及ばず、リカルド選手をかわしたハミルトン選手が3番手に上がってレースを続けることになります。
中団勢のつばぜり合い。そこに
渾身の走りで割って入るアロンソ選手。
今回のレース、予選で躍進したのがルノーです。ニコ・ヒュルケンベルグ選手とジョリオン・パーマー選手2人ともQ3に進出し、ウイリアムズ・メルセデスやハース・フェラーリ勢と互角以上の戦いを見せました。決勝レースでもその流れは続き、フォースインディア・メルセデスのセルジオ・ペレス選手やエステバン・オコン選手、そしてハースのグロージャン選手、はたまたトロロッソのダニル・クビアト選手と抜きつ抜かれつのドッグファイトを展開します。
そしてそこに敢然と割って入ったのが我らがマクラーレン・ホンダのアロンソ選手!鬼気迫る走りで中団勢に食い下がります。しかし戦闘力の欠如はいかんともし難く、アロンソ選手は「こんなパワーのないマシンで戦うのは初めてだ!」なんて怒鳴りながら激走を繰り広げて行きます。(^_^;;; 過去3回バーレーンGPを制しているアロンソ選手、前方で小競り合いがあればそれを逃さずポジションを上げて行く魂の走りが続きます。
先頭集団ではマッサ選手の健闘が光りました。絶えずトップ6に食い込む走りを見せ、フェラーリのライコネン選手の前を走る姿が長く見られました。後になって知ったのですが、この日はフランク・ウイリアムズ氏の75歳の誕生日だったそうで、ウイリアムズチームにとってはこの好走がなおさら心強く思えたことでしょう。いったんは引退を決めたもののウイリアムズに舞い戻ってきたマッサ選手、若いストロール選手の教育係(?)としても期待されているに違いありません。まだまだ隠居するわけには行きませんね。(^_^)
メルセデス苦渋のチームオーダー発動も実らず、跳ね馬の凱歌が響く。
昨シーズン、2人のドライバーの完全同条件を旨としていたメルセデス。しかし今回、ペースの振るわないボッタス選手に対し、ハミルトン選手を前に出す指示が出されました。何としても勝利を目指すメルセデス。しかしベッテル選手は速かった!ハミルトン選手が最後のピット+5秒のペナルティから解き放たれてコースに戻った時、ベッテル選手との間には20秒近い差ができていました。ハミルトン選手は猛烈な勢いで追い上げますが、ベッテル選手も巧みに時間差をコントロール。つけ入るすきを与えません。
そして奮闘を続けていたアロンソ選手ですが、終盤に悲劇が訪れました。今回のレースで復帰したザウバー・フェラーリのパスカル・ウェーレイン選手と11位を争っていた刹那、エンジントラブルを訴えてピットイン。そのままレースを終えてしまいました。結果的には周回数の関係で完走扱いになりましたが…。
そしていよいよチェッカー!ハミルトン選手の猛追を抑え、ベッテル選手が見事トップでチェッカーを受けました。ハミルトン選手は2位、ボッタス選手は3位表彰台を獲得。4位ライコネン選手、5位リカルド選手をはさんで、マッサ選手が見事6位チェッカーを受けました。レース後マッサ選手は、「優勝に匹敵する結果だよ!」と述懐しています。
ともあれ、これでベッテル選手が見事に今季2勝目を獲得。2位のハミルトン選手に7ポイントの差をつけました。そしてコンストラクターズでもフェラーリは1位の座を確保。これは昨年とは全く違った展開です。今後の展開も、目が離せません。
それにつけても気になるのはマクラーレン。。。ここにきて一気にパワーユニットに問題が出ているのが気がかりです。この決勝レース後、バーレーンで行われているテストでもマクラーレンのマシンにはトラブルが発生している由。去年にもまして厳しい戦いが続きますが、がんばれマクラーレン・ホンダ!
決勝レース結果
?順位 | ?No. | ?ドライバー | ?チーム |
1 | 5 | S.ベッテル | フェラーリ |
2 | 44 | L.ハミルトン | メルセデス |
3 | 77 | V.ボッタス | メルセデス |
4 | 7 | K.ライコネン | フェラーリ |
5 | 3 | D.リカルド | レッドブル |
6 | 19 | F.マッサ | ウイリアムズ |
7 | 11 | S.ペレス | フォースインディア |
8 | 8 | R.グロージャン | ハース |
9 | 27 | N.ヒュルケンベルグ | ルノー |
10 | 31 | E.オコン | フォースインディア |
11 | 94 | P.ウェーレイン | ザウバー |
12 | 26 | D.クビアト | トロロッソ |
13 | 30 | J.パーマー | ルノー |
14 | 14 | F.アロンソ | マクラーレン |
DNF | 9 | M.エリクソン | ザウバー |
DNF | 55 | C.サインツJr. | トロロッソ |
DNF | 18 | L.ストロール | ウイリアムズ |
DNF | 33 | M.フェルスタッペン | レッドブル |
DNF | 20 | K.マグヌッセン | ハース |
DNS | 2 | S.バンドーン | マクラーレン |