「カルスト号」に乗ってきました。（その１）

　山口県の日本海側に位置する萩市。ここを発着する夜行高速バスは2系統あります。一つは東京まで走破する「萩エクスプレス号」、そしてもう一つが神戸・大阪・京都の関西圏を目的地とする「カルスト号」。昨年12月、この「カルスト号」を共同運行する近鉄バスと防長交通双方から、2025年2月1日より運行を休止する旨の発表がありました。

近鉄バスのページ

防長交通のページ

　ぼくはその昔、「萩エクスプレス号」には乗ったことがあります。走行距離こそ「キングオブ夜行バス」とも称される西鉄バスの「はかた号」には及ばないものの、山口県・広島県内を小まめに止まる「萩エクスプレス号」は所要時間では「はかた号」を上回る路線。一方、「カルスト号」は山口県・広島県内各地に立ち寄る姿勢は「萩エクスプレス号」と同様で、何となく「萩エクスプレス号」の弟分（妹分？）といった雰囲気が漂います。所要時間も13時間超と申し分なく、以前から気になる存在ではありました。

　そんな「カルスト号」が残念ながら運行休止ということに。たまたま九州に行く用事のあったぼくは、帰り道にちょっと寄り道して上りの便に乗ってみることにしました。所要時間の長いバスは日の出ている時間帯に走る距離が長いのが魅力ですが、冬はだいぶ日が短くなってしまうのでなるべく春～秋の間に乗りたいところ。でも運行休止となってしまうのであれば贅沢（？）は言っていられません。ぼくは博多発の新幹線を新山口で降りて、これまた魅力的な直行バス「スーパーはぎ号」に乗って萩バスセンターに向かったのでした。

　萩バスセンターは、JR山陰本線の東萩駅・萩駅からはちょっと離れたところにあります。タクシーの案内所を併設した、小ぢんまりとした造作で、模型化するのも楽しいかもしれません。

　長距離バスに乗るときは水や食料など、いろいろ準備したくなるもの。ここ萩バスセンターでは、向かい側に建つショッピングセンター「SunLive」が強い味方となってくれます。以前「萩エクスプレス号」に乗った時もここでいろいろ買い込んだなぁ。。。

　ちなみに今回は、ペットボトルのお茶と一緒に「九州かしわおむすびとだし巻玉子」を購入。安い！しかも3割引きでさらにお得。バスの中でいただきましたが、大変おいしゅうございました。

　さて、バスセンターの待合室内には何ともレトロな風合いの時刻表が掲げられています。「カルスト号」は18時20分発ですね。今回は時間の都合で直行便の「スーパーはぎ号」を利用したのですが、新山口まで小まめに停車して行く右側の欄の路線もなかなか魅力的です。いつか乗ってみたいなぁ。

　待合室内には売店もあったようですが、閉ざされたシャッターに寂しいお知らせが貼ってありました。なおさら「SunLive」の頼もしさが感じられようというものです。

　さて、気がつくと2番乗り場に「カルスト号」が到着していました。防長交通担当の便です。さっそく乗り込んでみましょう！

　車内は独立3列シートのしつらえ。紺色ベースのシートに黄色いヘッドレストカバーが鮮やかです。カーテンも装備されています。

　前のシートからはフットレストを下ろすことができ、レッグレストと併せて快適に過ごすことができます。足先は前のシート下に伸ばせる仕様。コンセントも用意されているので、手持ちのガジェット類のバッテリー残量に神経を尖らせることもありません。

　さて、「カルスト号」は先にも書いたように、山口県・広島県内を小まめに止まりながら走って行きます。アクションカムの動画からの切り出し画像にはなりますが、主だった停留所の風景をご紹介します。まずは大田中央（おおだちゅうおう）の次に停車する山口湯田温泉。ユウベルホテル松政の真ん前に停車します。湯田温泉にこってりラーメンで有名な天下一品のお店があること、今回初めて知りました。。。

　続いて山口地方合同庁舎、山口市役所にほど近い山口西京橋に停車します。

　その次に止まる山口宮野は、防長交通の山口営業所内にあります。魅力的なバスがいっぱい並んでいます。

　そして国道262号線でJR山陽本線を目指し、ぶつかったところが防府駅前。

　さらに国道2号線で東に進み、到着するのが徳山駅前。ここまで、ひたすら一般道を走って行きます。

　この後「カルスト号」はようやく高速道路に入ります。徳山東インターチェンジで山陽道に入った後、次の熊毛インターチェンジ、さらにその次の玖珂インターチェンジでそれぞれ出入口近くまで走って行って停留所に止まります。その後岩国インターチェンジでいったん「カルスト号」は山陽道を降り、立ち寄るのが岩国駅前。

　岩国から国道2号線を進み、「カルスト号」は広島県に入ります。山陽道の大竹インター入口で停車し、大竹インターチェンジから再び山陽道（正確には広島岩国道？）に進入。このまま山陽道をひた走るのかな…と思いきや、五日市インターチェンジで高速を降り、向かったのがアストラムラインの終点、広域公園前駅。乗車できる停留所はここが最後、写真は遠くから眺めた広域公園前駅です。この停留所、アストラムラインで広島市街各地と結ばれているし高速道路のインターチェンジが至近だし、高速バスの停留所として好適な立地だと思いました。

　ここまで小まめに乗客を拾い集めてきた「カルスト号」は、五日市インターチェンジから山陽道に戻って一路東へ向かいます。そして萩を出て5時間以上経った頃、東広島市の小谷（こだに）サービスエリアに立ち寄ります。乗客がバスを降りることのできるのはここだけ。23時40分過ぎから日付の変わる0時まで休憩をとりました。