4月30日(日)、2017年F1第4戦ロシアGPの決勝レースが行われました。マクラーレン・ホンダはフェルナンド・アロンソ選手はスタートできず、ストフェル・バンドーン選手は14位完走を果たしました。
ロシアGPは冬季オリンピックが開かれたソチに建設されたサーキット、「ソチ・オートドローム」で開催されます。一部公道を使用したサーキットです。2014年から開催されており、成績を見るとメルセデス無双状態。しかしウイリアムズ・メルセデス時代のバルテリ・ボッタス選手も実は常に予選3番グリッドについています。そして今回もボッタス選手は3番グリッド。今ひとつ調子に乗れないでいるルイス・ハミルトン選手よりも前からのスタートです。前戦の初ポールポジション獲得に続く、F1初勝利なるか!?
それにしても、DAZN中継の予選ラップ映像を2台並べて見せる演出、いいですね!直線で引き離すメルセデスVSコーナーで稼ぐフェラーリの構図が手に取るようにわかり、なかなか素敵な演出だと思います。
赤い壁を突破したボッタス選手、渾身の快走!
ポールポジションはフェラーリのセバスチャン・ベッテル選手が獲得。なんと2015年シンガポールGP以来とのこと。さらに2番手は僚友キミ・ライコネン選手で、フェラーリのフロントロー独占は2008年フランスGP以来と言いますから、世界中のフェラーリファンはきっと狂喜したことでしょう。明らかに「メルセデスの運動会」状態だった昨年とは様相が違います。そして我らがマクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソ選手は、4戦連続で気合のQ2進出を果たしたものの、フォーメーションラップ中にERSの不調が発生。リセット操作を指示されるもののうまくいかなかったのか、それともイヤになっちゃったのか(^_^;)、スターティンググリッドにたどり着くことすらできずにリタイア。前戦のストフェル・バンドーン選手に続き、1台がスタートすらできない状態のマクラーレン。いきなり暗雲がたち込めます。バンドーン選手は予選17番手タイムを記録したものの、MGU-Hとターボチャージャーを今季5基目(規則上許されているのは年間4基…)に交換したため15グリッド降格の裁定を受け、最後尾からのスタートです。
アロンソ選手のリタイアでもう一度フォーメーションラップが行われた後のスタート、2列目のボッタス選手が魅せました。前を行くベッテル選手の後にぴったりついて機をうかがい、その後アウトに出てベッテル選手の前に立つことに成功。一方ハミルトン選手は一時ライコネン選手の前を窺うものの順位は変わらず4番手に収まります。
ここでボッタス選手、1つの呪縛から解き放たれたように見えました。もしボッタス選手とハミルトン選手が連なって走っていたら、前戦に続いてチームオーダーが発動されていたかもしれません。しかしベッテル選手とライコネン選手を間にはさんだことによって、チームオーダーの介入しようのない位置を確保することができました。
しかしいきなりのアクシデント発生。ルノーのジョリオン・パーマー選手とハース・フェラーリのロマン・グロージャン選手が絡んでクラッシュし、セーフティカーが導入されました。両選手とも様々なトラブルを抱えて満足の行かない予選を過ごしており、その挽回もかなわぬままリタイアとなってしまいました。
セーフティカーが退出した後も、ボッタス選手の快走は続きます。ファステストラップを記録しながら着々とベッテル選手との間にギャップを築いて行きます。そしてベッテル選手、ライコネン選手をはさみ、4位には今回やっぱり調子の上がらないハミルトン選手が続きます。
その一方で、今回メルセデスとフェラーリからちょっと間を置かれた感のあるレッドブル・タグホイヤーのダニエル・リカルド選手にブレーキトラブルが発生。リタイアを余儀なくされました。
フェラーリ渾身の追い上げも一歩届かず。ボッタス選手F1GP107人目の勝者に!
メルセデスとフェラーリがつばぜり合いを繰り広げる中、中団グループで健闘していたのはフォースインディア・メルセデス。セルジオ・ペレス選手とエステバン・オコン選手のペアはここまで3戦連続入賞という確実な走りを披露。中でもペレス選手は何と昨シーズンから13戦連続入賞中。往年のティエリー・ブーツェン選手のようなクレバーな走りで上位をキープします。一方、ウイリアムズのフェリペ・マッサ選手はパンクに見舞われるトラブルもあってフォースインディア勢、そしてルノーのニコ・ヒュルケンベルグ選手の後塵を拝する形となりました。
また、悔しいですが今回は最後尾争いということになるでしょう。バンドーン選手はザウバー・フェラーリの2人を抑えて14位を走行。バンドーン選手のポテンシャルを考えれば切歯扼腕かもしれませんが、この下位での周回も走行データを得るうえで重要だと信じたいです。(>_<)
そして終盤、ベッテル選手がボッタス選手にチャージをかけます。タイヤ交換を35周目まで遅らせて、フレッシュな足でボッタス選手を追いかけます。タイム差は周回を重ねるにつれて3秒…2秒…1秒…そして終盤にはついにDRS圏内となる1秒以内に詰めてきました。危うしボッタス選手!
しかし最終ラップ、何とも言えない巡りあわせが訪れます。周回遅れで2人の前に現れたのは昨シーズンまでボッタス選手の相棒だったマッサ選手。ボッタス選手はストレートで問題なくマッサ選手をパスしましたが、その後コースが曲線だらけになったところでベッテル選手が接近。マッサ選手を追い抜くのに手間取り、ちょっとだけボッタス選手との間が離れてしまいました。そしてそのままチェッカーフラッグ。決してマッサ選手が後輩のボッタス選手に勝たせてあげるために動いたとは思いませんが、神さまは何とも絶妙なタイミングで素敵なシーンを演出するものなんだなぁ…と思いました。
ともあれ、これでボッタス選手が嬉しい初優勝!今後のチャンピオンシップの行方がさらに楽しみになりました。ここまで4戦を経て優勝者が3人。ライコネン選手、そしてもちろんレッドブルのリカルド選手、マックス・フェルスタッペン選手もぜひ絡んでいただいて、ドキドキワクワク(死語?)なシーズンを展開してほしいものです。
中団グループではフォースインディア勢がペレス選手6位、オコン選手は7位(キャリアハイかな?)入賞。4戦連続2人入賞という安定感を発揮しました。そして試合巧者のヒュルケンベルグ選手が8位、マッサ選手は9位。10位には14番手スタートから見事な挽回を見せたトロロッソ・ルノーのカルロス・サインツJr.選手が入りました。
そして今回も何ともカントモだったマクラーレン。。。来季はザウバーにもパワーユニットを供給することが決まったホンダ、よりパワフルな開発が必要になります。ぼく個人的にはザウバーのカラーリングが大好きなので、あのマシンにホンダのマークが輝くのは大歓迎!とはいえまずは今季、何としてもこれまでの劣勢を跳ね返すのが先決です。相変わらず厳しい戦いが続きますが、がんばれマクラーレン・ホンダ!
決勝レース結果
?順位 | ?No. | ?ドライバー | ?チーム |
1 | 77 | V.ボッタス | メルセデス |
2 | 5 | S.ベッテル | フェラーリ |
3 | 7 | K.ライコネン | フェラーリ |
4 | 44 | L.ハミルトン | メルセデス |
5 | 3 | D.リカルド | レッドブル |
6 | 11 | S.ペレス | フォースインディア |
7 | 31 | E.オコン | フォースインディア |
8 | 27 | N.ヒュルケンベルグ | ルノー |
9 | 19 | F.マッサ | ウイリアムズ |
10 | 55 | C.サインツJr. | トロロッソ |
11 | 18 | L.ストロール | ウイリアムズ |
12 | 26 | D.クビアト | トロロッソ |
13 | 20 | K.マグヌッセン | ハース |
14 | 2 | S.バンドーン | マクラーレン |
15 | 9 | M.エリクソン | ザウバー |
16 | 94 | P.ウェーレイン | ザウバー |
DNF | 3 | D.リカルド | レッドブル |
DNF | 30 | J.パーマー | ルノー |
DNF | 8 | R.グロージャン | ハース |
DNS | 14 | F.アロンソ | マクラーレン |