2017年F1第2戦、中国GPは4月9日(日)に決勝レースが行われました。マクラーレン・ホンダはフェルナンド・アロンソ選手、ストフェル・バンドーン選手とも悔しいリタイアに終わりました。
日曜日は雨との予報が支配的だった中国GPでしたが、ふたを開けてみれは雨上がりのウエットな路面が次第に乾いてドライへと移行する微妙なコンディション。これはまさに、試合巧者・アロンソ選手を擁するマクラーレンにとっては願ってもない展開!アロンソ選手は13番グリッド、バンドーン選手はザウバー・フェラーリのアントニオ・ジョビナッツィ選手が前日の予選時にクラッシュしたことからギアボックス交換を行って3グリッド降格処分を受けたため予選順位より1つ繰り上がって15番グリッドからのスタートです。
難しいコンディションで様々なアクシデントが。
スターティンググリッドについたマシンのうち19台はインターミディエイトタイヤ、ただ1台トロロッソ・ルノーのカルロス・サインツJr.選手のみがスーパーソフトタイヤを履いてのスタートとなりました。ポールポジションはメルセデスのルイス・ハミルトン選手。そして2番手フェラーリのセバスチャン・ベッテル選手は濡れた部分を避けようとしてか、極端に左側に寄せてグリッド上にマシンを止めてスタートを待ちます。
昨シーズン、何回かスタートがうまく行かずつまづくことのあったメルセデスですが、今回は前戦オーストラリアに続いて順調なスタートを決めます。そして4番グリッドからスタートのフェラーリ・キミ・ライコネン選手はレッドブル・タグホイヤーのダニエル・リカルド選手にかわされて5番手となります。
一方、マクラーレン・ホンダの2台は素晴らしいスタートを切りました。アロンソ選手は8位にジャンプアップ!バンドーン選手もするするっと上位に上がって行きますが、他車と接触して番手を下げてしまいました。
ここでアッと驚くチャージを見せたのがレッドブルのマックス・フェルスタッペン選手。16番グリッドからのスタートながら、面白いように他車を次々にパス。あっという間に9台抜きを達成してしまいました。
しかしこの難しいコンディション、やはりアクシデントが発生してしまいました。ウイリアムズ・メルセデスの新人ランス・ストロール選手が、フォースインディア・メルセデスのセルジオ・ペレス選手と接触してコースアウト。リタイア第一号となってしまいます。これでバーチャルセーフティカーが発動。ベッテル選手をはじめ、早速ドライタイヤに交換するマシンが続出しました。
そしてバーチャルセーフティカー規制が解除されると、先頭集団はタイヤを変えなかったハミルトン選手、ボッタス選手、リカルド選手、ライコネン選手が形成します。しかしその刹那、ザウバーのジョビナッツィ選手が最終コーナーでコントロールを失い、メインストレートでクラッシュ!ジョビナッツィ選手、予選のときも同じようなところで同じようなクラッシュを喫しており、散々なレースとなってしまいました。このアクシデントにより、今度は本物のセーフティカーが出動することとなりました。今度はトップ集団を含めたマシンがタイヤ交換。この段階ですべてのマシンがドライタイヤに交換を行ったことになります。ここでレースは実質的に再スタートという形になりました。しかし残念ながら、バンドーン選手がリタイア。燃料系の問題でパワーを失ってしまったようです。また、セーフティカーがコース外に出る直前にボッタス選手がスピン!タイヤを暖めている間にコントロールを失ってしまったようです。あまりに痛いミスを喫してしまいました。
セーフティカー退出後、滑りやすい路面が浮き彫りにした各ドライバーのテクニック。
セーフティカー退出後の順位は前から順にハミルトン選手、リカルド選手、ライコネン選手、フェルスタッペン選手、ベッテル選手。そして6位には何とアロンソ選手!ボッタス選手は12位、そしてバンドーン選手は15位からの再出発です。
ここで光るのはやはりフェルスタッペン選手。8周目にライコネンをかわして3位にアップ。そして11周目にはリカルド選手をもパスして2位に上がりました。この難しいコンディションで、フェルスタッペン選手の腕が存分に力を発揮しました。また、いったんタイヤ交換で順位を落とすものの、その後ボッタス選手をパス。最終的には3位の地位を手に入れることになります。
また、ベッテル選手も激しく追い上げます。20周目にライコネン選手をパス。そして22周目にはリカルド選手とサイドバイサイド、タイヤを接触させながらパスして3位に上がりました。さらに28周目にはフェルスタッペン選手をもパス。2位に上がりました。
一方、アロンソ選手の奮戦にも目を奪われました。セーフティカー退出後はなんと6位。そこからボッタス選手に抜かれ、タイヤ交換前後でサインツJr.選手とデッドヒート。スペイン人の先輩後輩バトルが展開されました。しかし好事魔多し。34周目、ドライブシャフトを破損してマシンは戦闘力を失い、リタイアを余儀なくされました。フォースインディア勢やハース勢を従えて堂々の走りを見せていただけに、とても残念なアクシデントでした。
ソフトタイヤは最後まで持たず、ハミルトン選手が堂々のポール・トゥ・ウィン!
序盤のセーフティカー導入時にソフトタイヤを履いたメルセデス勢やフェラーリ勢。もしかしたらこのままレースを走り切れるかも…という観測もありましたが、やはりそれでは辛かったか、各車ふたたびタイヤ交換を行い、チェッカーを目指します。終盤戦はハミルトン選手とベッテル選手のファステストラップの叩き合い。そして3位争いはフェルスタッペン選手とリカルド選手。リカルド選手がフェルスタッペン選手の背後に迫りますが、パスするまでには至りません。そして中団グループでは、サインツJr.選手が一歩抜きんでた形。そしてハース・フェラーリとフォースインディア、そしてルノーとウイリアムズが入賞圏内を争います。今回はハースのケビン・マグヌッセン選手が好調。上位をキープしています。
そしてチェッカー。ハミルトン選手が見事ポール・トゥ・ウィンを飾りました。ベッテル選手がそれに続き、リカルド選手の猛追を耐え抜いたフェルスタッペン選手が3位表彰台を手にしました。以下リカルド選手、ライコネン選手、ボッタス選手。終始好走を見せたサインツJr.選手が7位に続きました。
我らがマクラーレン・ホンダは、残念ながら2台ともリタイアとなってしまいました。しかし開幕戦に続いてアロンソ選手が鬼神の走りを見せてくれました。バンドーン選手も難しいコンディション下で着実に走り、今後に期待の持てる走りを見せてくれました。やっぱり必要なのはマシンの信頼性。次戦のバーレーンGP、これまでとうって変わって暑い中でのレースとなりますが、何とか2人をチェッカーまで導いてほしいものです。相変わらず厳しい戦いが続きますが、がんばれマクラーレン・ホンダ!
決勝レース結果
?順位 | ?No. | ?ドライバー | ?チーム |
1 | 44 | L.ハミルトン | メルセデス |
2 | 5 | S.ベッテル | フェラーリ |
3 | 33 | M.フェルスタッペン | レッドブル |
4 | 3 | D.リカルド | レッドブル |
5 | 7 | K.ライコネン | フェラーリ |
6 | 77 | V.ボッタス | メルセデス |
7 | 55 | C.サインツJr. | トロロッソ |
8 | 20 | K.マグヌッセン | ハース |
9 | 11 | S.ペレス | フォースインディア |
10 | 31 | E.オコン | フォースインディア |
11 | 8 | R.グロージャン | ハース |
12 | 27 | N.ヒュルケンベルグ | ルノー |
13 | 30 | J.パーマー | ルノー |
14 | 19 | F.マッサ | ウイリアムズ |
15 | 9 | M.エリクソン | ザウバー |
DNF | 14 | F.アロンソ | マクラーレン |
DNF | 26 | D.クビアト | トロロッソ |
DNF | 2 | S.バンドーン | マクラーレン |
DNF | 36 | A.ジョビナッツィ | ザウバー |
DNF | 18 | L.ストロール | ウイリアムズ |