F1が2年ぶりにモナコに帰ってきました!
インディ500、ル・マン24時間とならんで世界3大レースの一つとも称されるモナコGP。モンテカルロ市街地を舞台に1ミリ単位の攻防が展開されるこのレースは、やはり数あるF1レースのなかでも特別なものと言えるでしょう。
フリー走行 ~フェラーリ復活!ちょっと控えめなメルセデス~
この伝統の一戦、目覚ましい走りを見せたのがフェラーリです。カルロス・サインツJr.選手は3回のフリー走行でいずれも2位のタイムを記録。そしてシャルル・ルクレール選手は1回目でわずか4周しかできずに心配されましたが、2回目トップタイム、3回目は3位と、これまでトップ争いを繰り広げてきたメルセデスとレッドブル・ホンダの間に割って入る形となりました。これは面白い!
その一方、メルセデスはやや低調か。ルイス・ハミルトン選手は3回のフリー走行でそれぞれ5位、3位、7位タイム。僚友バルテリ・ボッタス選手はそれぞれ6位、5位、4位に落ち着きました。そして対するレッドブルはマックス・フェルスタッペン選手が3位、4位、1位タイム。セルジオ・ペレス選手は1回目にトップタイムをマークした後8位、5位となりました。
中団勢ではマクラーレン・メルセデスのランド・ノリス選手とアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー選手が光る走りを見せました。ノリス選手は7位、6位、6位、ガスリー選手は4位、7位、9位の好タイムを記録。予選が楽しみです。また、セバスチャン・ベッテル選手は徐々にアストンマーティンのマシンに馴染んできたか、8位、10位、10位と安定してトップ10に入るタイムを記録しました。アルファロメオも、キミ・ライコネン選手とアントニオ・ジョビナッツィ選手のどちらかが常にトップ10に入る展開。復調を感じさせます。
一方、陰りが見えたのがアルピーヌ。エステバン・オコン選手は16位、14位、20位。フェルナンド・アロンソ選手も13位、12位、15位とフリー走行ではやや精彩を欠きました。1回目にはアロンソ選手がクラッシュを喫してバーチャルセーフティカー導入のきっかけを作ってしまうなど、「らしくない」展開です。アストンマーティンのランス・ストロール選手は11位、13位、12位とアルピーヌ勢の1枚上にのった格好です。
そしてアルファタウリ・ホンダの我らが角田裕毅選手にとってはやはり厳しい週末になりそうです。フリー走行1回目では9位のタイムを記録したものの、2回目の前半で右側のタイヤを壁に接触させてしまい、ほとんど走れない結果に。土曜日のフリー走行も19位タイムとなりましたが、全20台のなかで最多周回を記録してちょっとは挽回できたかな?新人つながりで言うと、ハース・フェラーリのミック・シューマッハ選手も3回目のフリー走行でクラッシュ!セッションは赤旗中断→そのまま終了という結果になりました。
公式予選 ~ルクレール選手みごとポールポジション!惜しかったフェルスタッペン選手…~
今回の予選はちょっと目まぐるしい展開になりました。というのも、他の多くのレースだと予選のセッションは多くのドライバーが2セットのタイヤを使ってアタックを2回行うため、セッションが大きく2つに分けられることが多く、前半は誰が速く後半になって誰が巻き返して…なんてことになりがちです。しかしモナコでは1周の距離が短く、タイヤも意外に長持ちしてしまうため、1セットのタイヤで何回もアタックするというパターンが割と多くありました。つまり、常に誰かがタイム更新しながら回っているので、一瞬たりとも目の離せないセッションになりました。ある意味面白かったです。
Q1ではフリー走行3回目でクラッシュを喫したハースのシューマッハ選手が欠場。ノックアウトは4人となりましたが、アルファタウリの角田選手がそれに入ってしまうことに…。角田選手は途中でタイヤ交換に入ったのですが、運の悪いことに抜き打ち車検(?)に引っかかってしまい、痛恨のタイムロス。2セット目のタイヤで十分なアタックを行うことができず、16位に沈んでしまいました。この抜きづらい市街地コース、決勝は角田選手にとって我慢の展開となりそうです。まずは確実に完走してほしいところ。Q1敗退となったのはほかにアルピーヌのアロンソ選手、ウイリアムズ・メルセデスのニコラス・ラティフィ選手、ハースのニキータ・マゼピン選手でした。
15台のマシンが10台に絞られるQ2。ここではマクラーレンのダニエル・リカルド選手が振るわず12位、Q3に進めませんでした。その他11位にアルピーヌのオコン選手、13位にアストンマーティンのストロール選手、14位にアルファロメオのライコネン選手、15位はウイリアムズのジョージ・ラッセル選手となりました。我らがアルファタウリのガスリー選手は安定のQ3進出。アストンマーティンのベッテル選手は復調のQ3、アルファロメオのジョビナッツィ選手は嬉しいQ3進出です。
そして、どうしたハミルトン選手!Q1、Q2ともに7位のタイム。でも何しろあのハミルトン選手のことですから、調子が悪いのかな?というよりそこまで隠したい何かがあるのかな?と疑心暗鬼にさせてしまうのも無理のないこと。Q3でさらにポケットから何か出てくるのでしょうか…。
そのQ3、残り7分の段階で首位はフェラーリのルクレール選手、以下フェルスタッペン選手、サインツ選手、ボッタス選手、ガスリー選手がトップ5を構成します。ハミルトン選手はそれに次ぐ6位。やはり調子が悪いのかな…。
そんなことを考えていた刹那、予選は衝撃的な結末を迎えます。なんとトップタイムを記録していたルクレール選手がクラッシュ!セッションはそのまま赤旗中断→終了となってしまい、ちょっと肩透かしを食った印象のままルクレール選手の今シーズン初ポールポジションとなりました。
これで悔しい思いをしたのが他ならぬ我らがレッドブル勢。。。まずはフェルスタッペン選手。第1セクターで最速タイムをたたき出しながらアタックしていたまさにそのさなかでの赤旗提示…。2番手タイムに終わりました。そしてペレス選手は自己ベスト更新確実なアタック中、第3セクターの大渋滞に遭遇してスピードダウンを余儀なくされ、捲土重来を期したはずがセッション終了…。まさかの9位となってしまいました。
そしてメルセデス勢。ボッタス選手が3位に入ったものの、ハミルトン選手は結局7番手。5位のノリス選手、6位のガスリー選手といった意気上がるドライバーたちの後ろでどうレースを組み立てるか注目です。
もっとも、ルクレール選手ももろ手を挙げて喜んでいるわけにもいきません。かなり激しくクラッシュしてしまったマシンの状態は、とりあえず重要パーツの交換までは必要ないとの見立てですが、決勝出走までにどんな判断が下されるか。もしギアボックス交換となれば、5グリッド降格のペナルティが与えられてしまいます。さらに今シーズンはこれまですべてのレースでセーフティカーが導入されています。なんとも波乱を予感させる今年のモナコGP、数時間後に始まります。がんばれレッドブル・ホンダ!そしてがんばれアルファタウリ・ホンダ!