いや、本当に惜しかった…。
3月29日~31日、中東の王国バーレーンのバーレーンインターナショナルサーキットにおいて2019年F1第2戦、バーレーンGPが開かれました。初戦オーストラリアGPとは打って変わってフェラーリ勢が躍動。しかしまさかの悪夢が待っていました。我らがレッドブル・ホンダはオーストラリアほどの勢いが感じられなかったもののマックス・フェルスタッペン選手が4位に入り、僚友ピエール・ガスリー選手も8位とダブル入賞を果たしました。また姉妹チームのトロロッソ・ホンダでは新人アレクサンダー・アルボン選手が9位初入賞!ダニル・クビアト選手も12位完走を果たし、初戦に続き4台とも無事に走り切りました。
フリー走行1回目
金曜日のフリー走行1回目、今回のフェラーリは最初から速かった!シャルル・ルクレール選手がいきなりトップタイムをマーク、セバスチャン・ベッテル選手がそれに続きます。メルセデス勢は初戦に勝利して意気上がるバルテリ・ボッタス選手が3位、ルイス・ハミルトン選手は4位タイム。そしてホンダはレッドブルのフェルスタッペン選手が5位、ガスリー選手が6位タイムを記録して見せれば、トロロッソのクビアト選手は9位、アルボン選手も13位のタイムを刻みました。何だかいい感じ。
フリー走行2回目
酷暑のバーレーンGP、決勝レースは夜のとばりが降りた頃に行われます。そうした意味ではより決勝に近いコンディションのフリー走行2回目、フェラーリ勢は相変わらず好調。今度はベッテル選手がトップ、ルクレール選手が2位に入って先頭をキープ。メルセデスは3位ハミルトン選手、4位ボッタス選手と続きます。そしてホンダ勢はと言えば、レッドブルのフェルスタッペン選手が6位、トロロッソのクビアト選手が10位タイムを記録。レッドブルのガスリー選手が12位、トロロッソのアルボン選手が13位タイム。ちょっとばらけてきました。その他上位には5位にルノーのニコ・ヒュルケンベルグ選手、7位にハース・フェラーリのケビン・マグヌッセン選手、8位にマクラーレン・ルノーのランド・ノリス選手と、まさに群雄割拠の様相。
フリー走行3回目
明けて土曜日のフリー走行3回目、フェラーリは止まりません。ルクレース選手トップタイム、ベッテル選手2位のタイムは3位のハミルトン選手に約0.6秒の差をつけてみせます。そして4位はボッタス選手だったのですが、ここに来てホンダ勢はちょっと疲れた様子。フェルスタッペン選手8位、クビアト選手10位、ガスリー選手12位、アルボン選手17位と、ちょっと番手を下げてしまいます。その隙をねらってルノーのヒュルケンベルグ選手、ハースのロマン・グロージャン選手、マクラーレンのノリス選手らが上位になだれ込み、何だか今年の戦い、めっちゃタイトなものになって行きそうです。
予選
Q1:やるなノリス選手。アルボン選手も続け!
そして迎えた予選。天馬空を行くフェラーリ勢、1番時計はルクレール選手。ベッテル選手が2位、ハミルトン選手が3位に入りますが、その次は何とマクラーレンのノリス選手。そしてボッタス選手をはさんだ6番手にはアルボン選手!新人二人が躍動します。そしてフェルスタッペン選手9位、クビアト選手12位、ガスリー選手は14位タイムを記録してホンダ勢4人はそろってQ1を突破することができました。Q1ノックアウトはアルファロメオ・フェラーリのアントニオ・ジョビナッツィ選手、ルノーのヒュルケンベルグ選手、レーシングポイント・メルセデスのランス・ストロール選手、そしてウイリアムズ・メルセデスの二人。ウイリアムズは、ストロール選手から1.5秒落ちのタイム。うーん、何とかがんばってほしい!
なお、このときグロージャン選手がスローダウンしているところに危うくノリス選手が追突しかける場面があり、グロージャン選手はノリス選手のアタック妨害の咎で3グリッド降格のペナルティを喫しました。
Q2:惜しいなガスリー選手。。。トロロッソ勢もQ2敗退。
ここでもフェラーリは速い。ルクレール選手、ベッテル選手の1-2の後にハミルトン選手、ボッタス選手が続く構図です。5位にはハースのマグヌッセン選手、6位マクラーレンのサインツJr.選手と続いて7位にフェルスタッペン選手。やっぱり今回ホンダの勢いは今ひとつか…。Q2敗退を喫したのは11位ルノーのダニエル・リカルド選手、12位のアルボン選手、13位ガスリー選手、14位レーシングポイントのセルジオ・ペレス選手、そして15位クビアト選手の面々となりました。
Q3:何だかんだでフェルスタッペン選手が三強の看板を維持。
セッション中各ドライバーは基本的に2回ずつアタックしてタイムを出しますが、今回は持ちタイヤの関係でベッテル選手とフェルスタッペン選手は1回のみのアタックに賭ける形となりました。それでも結果を出せるのはやはりトップ選手だからこそ、なのでしょう。ルクレール選手の切れのある走りは変わらず、唯一の1分27秒台のタイムを記録して嬉しい初のポールポジション獲得!ベッテル選手も2番手に滑り込み、フェラーリが1-2体制を築きます。3位はハミルトン選手、4位にボッタス選手のメルセデス勢。そしてその次に飛び込んできたのがフェルスタッペン選手。何とか三強の面目を保つ形となりました。トップ10の内訳はフェラーリ、メルセデス、ハース、マクラーレンが2台ずつ、レッドブル、アルファロメオが1台ずつとなりました。ハースの速さは相変わらずですが、マクラーレンが本家ルノーをさしおいて2台ともQ3進出。今年のマクラーレンは一味違いそうです。
決勝
前半:ルクレール劇場、開幕。
そして迎えた決勝レース、今回も波乱含みの立ち上がりとなりました。1周目で小競り合いが起き、ストロール選手とグロージャン選手がいきなりのピットストップを強いられます。3グリッド降格のペナルティを受けて11番グリッドからスタートしたグロージャン選手、まさに踏んだり蹴ったりといった状況。そして好調サインツJr.選手も序盤でフェルスタッペン選手と接触、タイヤをパンクさせてしまい後退を余儀なくされます。
そして先頭集団では、早くもルクレール選手が非凡な走りを見せつけることに。立ち上がりこそベッテル選手、ボッタス選手に先行を許したルクレール選手でしたが、2周目にボッタス選手、そして6周目にはベッテル選手を抜いてトップの座に返り咲きます。その後ルクレール選手は、決勝レースの大半を支配することになります。
今回のレースは2回ピットイン作戦が主流。9周目のペレス選手を筆頭にピットイン祭りが始まり、10周目にはガスリー選手、アルボン選手のホンダ勢がタイヤ交換。トップ集団では12周目にフェルスタッペン選手が最初にピットに飛び込み、以下13周目にボッタス選手、14周目にルクレール選手、ハミルトン選手、15周目にベッテル選手がそれぞれタイヤを交換します。一方、クビアト選手はピットレーンでスピード違反を犯してしまううっかりも。あらら。。。
その後23周目には3位のベッテル選手が2位のハミルトン選手をパスして2位に浮上、天馬空を行くルクレール選手と1-2体制を構築します。この段階でトップ10はルクレール選手>ベッテル選手>ハミルトン選手>ボッタス選手>フェルスタッペン選手>リカルド選手>ヒュルケンベルグ選手>ライコネン選手>ノリス選手>ガスリー選手の順。むぅ、いつの間にかルノー勢が上位にやって来ました。
後半:フェラーリまさかの失速。終わってみればメルセデスの1-2
2ストップ作戦のクルマたちは30周過ぎからピットに入って行きます。フェルスタッペン選手は33周目にピットイン。しかしタイヤ交換に珍しく手間取ってしまいます。コースに復帰したときには7番手。
その後38周目、ハミルトン選手とベッテル選手との間にバトル勃発。しかしそのドラマは、ベッテル選手の単独スピンという意外な事象であっけなく幕引きとなります。ベッテル選手はその際フロントウイングを壊してしまい、たまらずピットイン。大きく番手を下げてしまいました。
41周目以降は、おおよそルクレール選手>ハミルトン選手>ボッタス選手>フェルスタッペン選手>ヒュルケンベルグ選手>リカルド選手>ベッテル選手>ノリス選手>ライコネン選手>アルボン選手というトップ10。久々にルノー、いい仕事してます。そしてルクレール選手は相変わらず唯我独走状態。ファステストラップも手に入れ、初戦のボッタス選手ばりの横綱相撲を展開します。いやはや、ものすごい若手が現れたものです。
しかし好事魔多し。47周目、突然ルクレール選手の足が止まります。当初MGU-Hのトラブルかと囁かれましたが、結果的には6気筒エンジンの1気筒が死んでしまったとのこと。当然パワーはがた落ちとなり、追走していたハミルトン選手には48周目、ボッタス選手には54周目になすすべもなくパスされてゆきます。そして背後には、確実にフェルスタッペン選手が忍び寄っていました。
それでもバーレーンの気まぐれな神さまは、いたずらの手を緩めることはありませんでした。54周目、それまで快走していたルノーのヒュルケンベルグ選手、リカルド選手がほぼ同時にマシンを止めてしまったのです。またしてもパワーユニットのトラブル。初戦もそうでしたが、今季のルノーは信頼性という大きな課題を背負った形となりました。
この2台がコース上でストップしてしまったことでセーフティカーが出動。当然追い越しは禁止となり、1ハミルトン選手>2ボッタス選手>3ルクレール選手>4フェルスタッペン選手>5ベッテル選手>6ノリス選手>7ライコネン選手>8ガスリー選手>9アルボン選手>10ペレス選手というトップ10が形成されます。時あたかも残り数周。リカルド選手のマシンに電気的に安全ではない警告灯が点いていたこともあってか撤去作業は難航、隊列は崩れぬままチェッカーフラッグが振られることとなりました。
終わってみればメルセデス勢が初戦に続いて1-2フィニッシュを達成。ルクレール選手は初表彰台ながら悔しさの残るレースとなりました。そして結果的にはルノー勢のリタイアでルクレール選手を抜き損ねたフェルスタッペン選手が4位。レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は「ルノーは昨年はクルマの中で足を引っ張り、今年はクルマの外で足を引っ張る」なんて言ったとか言わなかったとか。そしてベッテル選手までがトップ5となりました。
まとめ
まぁ、今回のレースはルクレール選手のモノだった、と言い切ってしまってよいでしょう。予選の各セッションから最終的にポールポジションまでを奪取してみせ、決勝もスタート直後の計算違いを冷静にカバーして自力でトップに返り咲き、あとはひたすらレースをマネジメントしながらの一人旅。レース後のコメントでも昂ることなく冷静に振り返って見せるその姿は、かつてのアラン・プロスト選手をも彷彿とさせます。今回は残念な結果に終わりましたが、これからその才能を発揮する機会には星の数ほど出くわすでしょう。そしてそれだけにベッテル選手はいかにも精彩を欠いた印象。口さがないイタリアメディアにはめっちゃ叩かれているようだし、うかうかしてはいられません。
そしてルーキー勢ではノリス選手とアルボン選手が嬉しい初入賞。中でもノリス選手は三強を除いた中のトップ、いわゆる「The Best of the Rest」を獲得。他のルノーPU勢が全員リタイアに追い込まれた中、一筋の光となりました。アルボン選手は瞬発力はなくても着実に地力をつけている印象。シーズンが終わるころにはもしかしたら別人のようになっているかも…。そしてガスリー選手も何とか初入賞。今回はフェルスタッペン選手も含め終始クルマの挙動に悩まされていた感がありましたが、さっそくバーレーンでインシーズンテストも行われることだし、何とかクルマを熟成させていってほしいものです。まぁ何はともあれホンダPU勢は初戦に続いて4台全員が見事に完走、うち3台入賞となったので比較的よかったんじゃないかな?
さて、次はいよいよF1通算1000戦めとなる中国GP。ルクレール選手雪辱なるか、ベッテル選手は失地回復なるか。メルセデスはどうせ放っておいても速いだろうけど(^_^;;)、今度はホンダPU勢全員入賞を目指してほしいものです。がんばれレッドブル・ホンダ、そしてトロロッソ・ホンダ!
2019F1第2戦バーレーンGP結果
No | チーム | ドライバー |
---|---|---|
1 | メルセデス | L.ハミルトン |
2 | メルセデス | V.ボッタス |
3 | フェラーリ | C.ルクレール |
4 | レッドブル | M.フェルスタッペン |
5 | フェラーリ | S.ベッテル |
6 | マクラーレン | L.ノリス |
7 | アルファロメオ | K.ライコネン |
8 | レッドブル | P.ガスリー |
9 | トロロッソ | A.アルボン |
10 | レーシングポイント | S.ペレス |
11 | アルファロメオ | A.ジョビナッツィ |
12 | トロロッソ | D.クビアト |
13 | ハース | K.マグヌッセン |
14 | レーシングポイント | L.ストロール |
15 | ウイリアムズ | G.ラッセル |
16 | ウイリアムズ | R.クビサ |
17 | ルノー | N.ヒュルケンベルグ |
18 | ルノー | D.リカルド |
19 | マクラーレン | C.サインツJr. |
DNF | ハース | R.グロージャン |